強引社長の不器用な溺愛
「お母様、私と東弥さんの結婚はお許しいただけないのでしょうか?」


篠井が冷静且つ、穏やかに口を挟む。
ぶれた論点を戻すため、また険悪な親子を止めるための言葉だ。

母はわずかに視線を篠井にずらしたけれど、すぐに顔を伏せた。


「絹さんは、東弥に言いくるめられて協力しているのでしょう?跡を継ぎたくない東弥の我儘に加担してるのね」


「そんなことありません!」


篠井が誠心誠意といった純真な表情で母に言い募る。
しかし、母は再び首を振った。


「では、同じことが言えるか試してみましょう」


どういうことだろう。
母の言う意味がわからず、首をひねる俺たちのもとに、今度は新人の植木が顔を出した。緊張の面持ちで言う。


「篠井さん……お客様です」


「入っていただいて!」


答えたのは篠井じゃない。うちの母だ。

なんだ?状況が読めない。

どんどんという大股な足音が近づいてくる。
先に篠井が青い顔をしたのは、状況が読めたからに他ならない。


「お父さん……」


篠井が呟いてすぐにパーテーションからヒグマのような体格のいい壮年男性が現れた。

えーと、お父さんって言ったよね。
ってことは、こちら絹さんのお父様でいらっしゃる?

あんまり似てねーなぁ。
……じゃなくて、母が呼んだのか?
それ以外考えられないけど!
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