強引社長の不器用な溺愛
俺は言葉を切ってから、清塚さんの目を見つめた。


「サプリメントプロジェクトの件、どうして今更副社長側についたんですか?」


「社の方針に従っただけです。大沢社長が昨夜入院したのはご存知ですよね」


「清塚さんが自己の利益を優先する副社長側につくとは思えません。あなたと大沢社長には深い絆があったと思っていました。社長が体調を崩された今こそ、あなたが中心になって正しい道筋へ導くべきとは思わなかったのですか?」


清塚さんの瞳に過ったのは苛立ちだ。
そんなこと、わかってる。そう言いたげな瞳。

そうか、やっぱりあんたは自分の気持ちと真逆のことをやらかしたんだな。
好きな女に振られたっていう、一時の激情で。


「清塚さん!」


そこに入ってきたのは篠井だ。
おそらく、彼の判断を迷わせた原因。


「私のせいですか?私があなたを拒絶する態度をとったせいですか?」


悲しげな表情で篠井が一歩近づくと、目に見えて狼狽した清塚さんがじりっと下がった。


「やめてください!篠井さん、あなたは関係ない!」


「じゃあ、なんで?あんなに、……大沢社長の助けになることを誇りに思っていたあなたが……」


ぎりっと清塚さんが歯ぎしりするのが見えた。

イケメンは顔を歪めても綺麗なもんだ。

鋭い瞳で俺と篠井を睨む彼は、この時には冷静で穏やかな草食系ではなくなっていた。



「……ええ、そうですよ。篠井さんが困るだろうなと思って、副社長につきました」


右手を額に当て、吐き出すように告白する清塚さんは、瞳をギラギラ光らせていた。
ゆらりとその長細い身体が揺れる。

俺は無意識に篠井の前に立った。
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