強引社長の不器用な溺愛
清子ちゃんがお子様ランチを食べる中、私たちは生ビールとアラカルトで乾杯した。


「ストレスの元凶は無くなった?」


飲みながら沙都子さんが聞いてくる。
心配をかけてるみたいで申し訳なくなり、うつむき目をそらす。


「無くなりはしないですけど、気にしないっつう方向で」


「じゃあ、やっぱり八束社長が原因だわね」


沙都子さんにまたしても図星をさされて固まる私。
勘良すぎです。私ってば、そんなにわかりやすいのかなぁ!


「何か、あったの?」


「何ってほどじゃないんですけど、えーと……」


言うべきか迷う。
しかし、どうせもう済んだことだし、沙都子さんにまでこそこそ隠し立てするのは変だ。
唇を尖らせてうまい回答を考える。


「キス?」


なぜか疑問形で言ってしまった言葉に、切れ長の沙都子さんの瞳がまあるくなる。


「キス、しちゃったの?社長と?」


「じっ事故で!はい、なんか喧嘩のついでに!かかってこいみたいな空気になっちゃって!」


この説明ではたして伝わるのか。しかし、沙都子さんはほーっとため息をついた。


「なるほどねぇ。その場の空気でしちゃって、気まずいんだ」


ははあ、仰せの通りにございやす。
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