蕩けるくらいに抱き締めて(続き完結)
「美味しいご飯出来てますよ。明日のオペの為にも、沢山食べてくださいね」

少し体を離し、蘇芳先生を見上げた雪愛は、そう言うと微笑んだ。蘇芳先生も、それに応えるように笑顔で頷いた。

食事をしながら、雪愛は、明日のオペの患者のことを聞いた。

「…明日は、誰のオペをするんですか?」
「…奏太だよ」

患者の名前を聞いて、雪愛は驚いた。

「奏太君のオペは、確か来週のはずじゃ?」
「あぁ、そのはずだったんだが、明日オペ予定の患者の容体が思わしくなくて、奏太とオペの日にちを交代したんだ。…明日から、雪愛は、病棟勤務だろ?」

「・・・はい」
「気丈に振る舞ってはいるが、きっと緊張してる、明日の朝、奏太に顔を見せてやってくれないか?雪愛の顔を見れば、少しは緊張もほぐれるだろうから」

「はい、もちろんです。明日の朝、少し早めに出勤して、奏太君に会ってきます」

そう言って微笑めば、蘇芳先生も嬉しそうに微笑んだ。

…蘇芳先生は知っている。老若男女問わず、雪愛が、患者に人気があると言う事を。いつも親身になってまるで、自分の家族の看病でもするように、看護にあたる雪愛を、患者たちは、とても信頼してる。

看護師を本格的に初めてまだ2年だと言うのに、そこまで信頼される雪愛は、看護師と言う仕事がきっと、天職なんだろうと、蘇芳先生は思っていた。


…食事が終わると、雪愛は、片づけてる間に、蘇芳先生にお風呂を先に勧めた。

疲れていた蘇芳先生は、厚意を素直に受け止め、お風呂に入る。

着替えを持ち、バスルームに行く前に、再びキッチンに顔を出した蘇芳先生。

「どうしたんですか?」
「…今夜も、泊まるだろ?」

…その確認をしたかったらしい。
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