何でも屋と偽りのお姫様~真実の愛を教えて~
「もしもし、拓哉さんですか?
はい、今、終わった所です」

『じゃあ迎えをやるからどこかに入って待っていろ』

「いえ、大丈夫です」

『うるさい、とにかく……』

「本当に大丈夫で……あっ……。
スマホの充電が切れた……」



真っ暗な画面を見ながら呆然としていた。
電話の途中で切れるとは……後で拓哉さんに怒られるに違いない。


ハァッとタメ息をつき私は歩き出した。


辺りはもう真っ暗だ。
両サイドにずらっと並ぶ店たちの明かりが暗さを誤魔化してはいるが、もう23時を超えている。

接待飲みが終わり気が緩んだ私はフラフラと夜の街を歩く。


疲れた、そのひと言に限る。
作り笑いを浮かべ続けていたせいか頬がヒリヒリと痛む。



「慣れていたはずなのにな……」



小さく呟くともう1度大きなタメ息をついた。


作り笑顔は私の専売特許だった。
柊家へと関わる様になってから。


それが嫌だとか、疲れたと思う事はなかったのに今は凄く嫌悪感がある。


作り笑顔を浮かべる度に胸がズキズキと痛むんだ。
まるで“こんなのは私らしくない”そう主張しているように。


こう思う様になったのはいつからだろう。
ふと考えれば頭にある人が浮かんだ。



『お前さ~作り笑顔ばっかり浮かべてたら……。
本当に笑えなくなるから程々にしとけよ』



それは……真剣な顔で私を見る遥斗だった。
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