何でも屋と偽りのお姫様~真実の愛を教えて~
「なに笑ってんだよ」

「別に、ただ可愛いなって思っただけです」

「……意味が分からねぇよ。
頭大丈夫かお前……」



ハァッとタメ息をつきながら元、じゃなくてNO1は再びウイスキーを眺めながら箸でかき混ぜていた。

氷がグラスにぶつかる音がいやに大きく聞こえる。
止めなければ永遠にその行為を続けそうな雰囲気だ。



「……何かあるなら聞きますけど。
案外、誰かに話しちゃえばスッキリするかもしれないですよ?」



静かなトーンで言えばNO1はゆっくりとグラスから視線を上げる。


揺れる瞳が私の目を捉える。
目を見て人の気持ちが分かる、そんな特殊能力を持っている訳ではない。


でも、何故か“助けて”と訴えかけているように見えた。


その目を見た瞬間、私の中で何かが燃え上がった気がした。
この人を助けたい。
そんな想いが強く募っていく。



「NO1さん、話してくれませんか?
私じゃ力になれないかもしれないけど……。
貴方の気持ちを少しでも軽くしたいんです」

「……はっ……お人好しだな……お前……」



力なく笑うNO1にズキリと胸が痛む。


この人の笑顔は見た事はない。
だけど、こんなに切なく笑う人ではないって事は分かる。


何か悩んでいる、それは分かるのに……。
何も出来ない自分が悔しい。


掌を力いっぱい握りしめようとした時



「俺さ……」



小さな声がお店に落された。
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