何でも屋と偽りのお姫様~真実の愛を教えて~
「あっ……」



拓哉さんが触れる度に口から声が漏れてしまう。
そんな私を見ながら彼は愉快そうに頬を緩めた。



「お前は俺だけの事を考えていればいい。
お前に俺以外のものは何もいらない」



洗脳されるかの様に、拓哉さんの言葉が私の頭を支配していく。



「私は……」



開きかけた口が何を言いたかったかは分からない、ただ分かる事は……。
拓哉さんに逆らってはいけないと言う事だけ。



「私は拓哉さんだけを見ていますよ。
……前からずっと……」



今までずっとそうやって生きてきた。
だからこれからもそうすればいい。


自由に生きたいという想いが、心の中で強く膨らんでいく。
遥斗の様に真っ直ぐで優しい人間になりたいという願いが私の胸に突き刺さる。



それでも……。



「だから……心配しないで下さい」



私は自分からこの関係を断ち切ることが出来ない。


拓哉さんが好きだから、大切だから。


何より……そんな勇気は私にはない。
今まで大切に温めてきたものを手放す勇気も、1人になる勇気も私には何もない。


拓哉さんが傍にいてくれれば、私は1人じゃないから。


共依存のような関係かもしれない。
そんな事を頭の片隅に浮かべながら私は笑顔を作った。
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