何でも屋と偽りのお姫様~真実の愛を教えて~
「こんにちはー」



何でも屋の扉を開ければ、前と違う光景が目に入った。


確か、デスクは1つしかなかったのに今は2つになっている。
それは、レイヤの存在を示すような物だった。


ホストを辞めたレイヤは何でも屋へと転職した。
まぁ、遥斗に脅されてだけどね。
苦笑いを浮かべながらあたりを見渡す。


誰もいない……。
ガランとした空間が私を迎えていた。


遥斗やレイヤはいないのだろうか。
奥まで歩いていけばキッチンの方に人影が見えた。



「遥斗……?」



後ろ姿に声を掛ければゆっくりと振り向く。
私を見た途端に遥斗の顔がニカッと笑顔になるのが分かった。


柔らかい笑みに私の顔にも笑顔が浮かぶ。



「今日は時間前に来たな。
そんなに俺に会いたかったのか?」

「っ……!?」



いつもの冗談だって分かっている。
なのにカァーッと頬が熱くなるのが分かった。


ドクンドクンと速まる鼓動。



「梓沙?」

「な……何でもない!」



不思議そうな顔をする遥斗にブンブンと首を振って持っていた紙袋を差し出した。

キョトンとする遥斗に無理やり紙袋を押し付ける。
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