何でも屋と偽りのお姫様~真実の愛を教えて~
「怪我はないかい?」

「……はい」



男の人は優しい笑顔を浮かべているのに目元が笑っていない気がした。
それだけではなくて、その視線は私の胸元へと注がれている。
色っぽい紫のドレスに合った大胆にカットされている胸元。


その厭らしい視線にタメ息が出そうになる。
それを何とか我慢して頭を下げた。



「本当にすみませんでした。
では私はこれで……」



足を動かそうとした時、急に体が傾きだした。



「きゃっ……何するんですか!?」



男の人の手が私の腕を掴んでいた。
そしてその手は私の腰を撫で下ろしていた。



「いい声で鳴くじゃないか。
どうだい?今夜……一緒に過ごさないか?」

「何言って……!?」



腕を振り払おうとしても力が強くてビクともしない。
怪しく笑う男の顔に寒気を感じる。



「いいじゃないか。
キミだってそのつもりでぶつかってきたんだろ?
随分とまあ古典的な手を使う子だね?」



何を言っているんだこの人は。
驚きのあまり呆然としていれば男の手がドレス越しに太腿まで降りてきていた。



「いやぁ……やめてくださ……い!!」



身の危険を感じた私は、思い切り手を振り払ってしまった。
その弾みに私の手が男の人に当たってしまう。
< 169 / 430 >

この作品をシェア

pagetop