何でも屋と偽りのお姫様~真実の愛を教えて~
時刻が零時を回った頃。
私たちはまだ飲んでいた。


2人で肩を並べながらお酒を飲んでいれば本当のカップルのような錯覚に陥りそうになる。
遥斗との距離は手と手が触れそうなくらいに近いのに嫌な気持ちにはならない。
寧ろ……落ち着くんだよね……。



そう思いながら、私はもう何本目か分からない缶酎ハイの蓋を開けた。



「おっ……それラストかよ……。
やっぱりもっと買ってこればよかったじゃねぇか」



遥斗は不貞腐れた様に口を尖らせていた。
確かにまだ飲めそうだけど……。



「あの量は無理だって~」

「お前ならいけるだろーが」

「遥斗は私の事をなんだと思ってるのよ……」



ゲラゲラと笑う遥斗を睨みながらふと頭に浮かんだことをそのまま口に出す。



「そう言えば遥斗は何で何度も屋を創立したの?」

「はぁ~?
いきなりなんだよ?」

「別に……気になっただけ」



特に理由はなかった。
自覚はしていないが、酔っているせいかいつもより口が軽い気がする。
そんな事を考えながら遥斗を見つめれば、彼の顔は少し哀しみに歪んでいる気がした。



「……」

「あっ……ごめん……」



聞かれたくない事だったのだろう。
無神経な自分が嫌になる。
遥斗は私が嫌な事は聞かずにいてくれるのに。


酔っているからって、最低だ私……。
落ち込みのあまり俯けば小さなタメ息が聞こえてきた。
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