何でも屋と偽りのお姫様~真実の愛を教えて~
「僕はアイツを責めました。
何で言わなかったんだよって……」



ギリギリと歯を食いしばる音が僅かに聞こえてくる。
悔しさと哀しさが伝わってくるその表情に言葉を失った。



「無理したせいもあってアイツの肩はもう治る事はなかった。
大好きな野球が2度と出来なくなってしまったんです」

「片瀬……さん……」

「僕はアイツの1番近くにいたのに……気付くことも出来なかった!
アイツの様子がおかしいって分かってたのに……何もしなかった!!」



片瀬さんは自分の膝を殴った。
何度も何度も……。
まるで何も出来なかった自分に罰を与えるかの様に……。



「もう止めてください!!」



そんな姿を見ていられなくなり、私は急いで片瀬さんに駆け寄った。
そして殴っていた拳を両手で包み込む。
それでも殴り続けようとする片瀬さんを必死に抑え込む。
力が強くて、もって行かれそうになるけどココで離したら駄目だ。
その一心で掴み続けた。


その時



「……っ……」



悲鳴に近い声が聞こえてくる。
その声は私でも片瀬さんでもなかった。
< 313 / 430 >

この作品をシェア

pagetop