男の秘密
「さぁ、今日は嫌な事は忘れて楽しく飲みましょう」

その後は、沢山飲んで、沢山食べて、沢山笑った。

一人じゃないと思うととても心強く、頑張れる気がした。

羽奈のお陰でぐっすりと眠る事が出来て、疲れがすっかりとれた。

次の日も羽奈は一緒に居てくれて、気分転換が出来た。

そのお陰で、日曜日は何時ものように過ごせて体が休まった。



「今日から仕事だ。頑張ろう」

怖がっていてもダメだから、ストーカーに負けないように頑張ろうと自分に言い聞かせる。

手紙は羽奈が預かりたいと言ったので、渡してしまったが、手元に無い方が気分的に楽だった。

優の気分を表すように、梅雨の晴れ間が覗く。

これから暫くは、今まで通り、料理を作ったら帰る事にしたが、用心の為、何時もの帰り道で帰るように一旦駅まで戻ってから帰宅するようにした。

同僚には習い事を始めた話を広めるように羽奈に言われたので、さりげなく習い事の事を話した。

この情報をストーカーが知っているなら、やはり社内の人間になるのだろうと思う。

あまり、考え込まないように仕事に没頭する毎日が続いた。

習い事のお陰か、帰り道のお陰か、今の所変な手紙がポストに入ることは無く、少しホッとした。

今日も梅雨のどんよりと重たい雲から大粒の雨が降ってくる。

六月も中旬になってほぼ毎日雨続きだ。

誰もが足元ばかり気にしながら帰宅する中、優は会社の最寄り駅でもなく、自宅の最寄り駅でも無い駅に降り立った。

すれ違いの日々に業を煮やした忍が、外での食事を提案したのだ。

『大丈夫よね?』

後ろから誰かが付いてきているんじゃないかと、何度も振り返ってしまい、かなり挙動不審な行動をとってしまった。
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