男の秘密
「ごめんなさい・・私・・・」

消え入りそうな声が聞こえて忍はハッとした。

「大丈夫?」

「はい。初めてだったんで、ビックリしちゃって」

「ファーストキス?」

言い直されて全身が熱く火照るような感覚に襲われた。

もう忍の顔を見る事など出来なくて、俯いてしまう。

『このまま消えてしまいたい程恥ずかしい。』

「ごめん。初めてならもっとちゃんと考えてすれば良かった。」

「そ、そんな・・気にしないで下さい。恥ずかしいので」

完全に言葉遣いが戻っている事に全く気づかない。





「そろそろ帰ろうか。」

そう言って、優が落ち着くのを待ってから帰った。

帰りの車の中は忍の顔をまともに見ることが出来ず、殆ど会話の無いままだった。

ただ、会話が無くても、気まずい訳ではない事が嬉しかった。

本当は家の前まで送って貰う予定だったが、ストーカーの神経を逆撫でしないように駅で降ろして貰った。

駅からの帰り道が少し怖かったが、何事も無く帰宅出来てホッとした。




次の日、忍の空き時間に合わせて警察に行って、ストーカーの事を話したが、やはり、何か無い限り動いてくれそうに無い事がわかった。
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