男の秘密
『距離だ』

自分と忍の距離が遠い事に気づいた。

ここに来てから忍は自分と半歩程距離を置いている。

安達とは肩が触れたり、触れそうになったりしているのにだ。

デリバリーが届き食べる時も、自分の横には安達が座って、忍は向かいに座っている。

『嫌われたのかしら・・・』

今までの距離とは違う距離に戸惑い、食事も味が良く分からなかった。

「後片付けはやっておくから、優は京子さんに送って貰って」

食べ終わったから片付けを・・と思ったタイミングで忍に止められた。

『早く帰って欲しいの?』

ズキンと胸が痛む。

「そうよ。遅いんだから送ってくわ」

安達に促されて立ち上がる。後ろ髪を引かれて振り返ると何時もと同じ、柔らかい笑みをした忍が居た。

『気のせい?』

忍も玄関先まで見送りに来たので、今日手料理が作れなかった事を謝る。

「あたし、先に荷物持って行くから」

気を利かせて安達が二人にしたのだが、何故か気まずい雰囲気だ。

「忍さん。私何か忍さんに嫌な事した?」

不安になり、つい聞いてしまうと、忍は難しい顔をした。
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