男の秘密
あの後、どうやって部屋を出たのか良く覚えていない。

ただ、何とか駐車場まで辿り着き、安達にからかわれたような気がするが、それすらも覚えていない。

部屋に入ってペタリと座り込んで暫くして、少し落ち着きを取り戻し、忍の家での出来事を思い返した。

「暫く距離を置くって・・・会えないの?」

会えないのも辛いが、会っても今日のように距離をとられてはそれも辛い。

会うとドキドキが止まらなくて苦しいが、幸せの方が沢山あった。

どうしてこんな事になってしまったのだろう・・・。

このまま距離を置かれて、安達のような綺麗な女性が回りにいたら、忍の心は自分から離れて行くのではないかと不安が募る。

自分の容姿がずば抜けて優れているわけでも、何か凄い技能がある訳でも無い事を自覚しているし、更に忍の容姿が際立っている事も優を不安にさせる要因の一つだ。

「どうしたら?」

もう一度呟きながら、思考を巡らせて見る。

『距離感が掴めなくなった』
『近づき過ぎて自制が出来ない』
『キスしたくなって、それだけじゃ止まらない』

忍の言った事を何度も反芻してみる。

自分を嫌っているのでは無い。むしろ好きだから距離を置きたいと言っている。

なら、距離を置かれずに済むには・・・。

そこまで考えて一気に真っ赤になった。

忍が望む事を自分が受け入れれば良いのだ。

忍が望む事・・・それは肉体関係だ。
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