男の秘密
手前のお店は綿菓子を売っていた。

「綿菓子だ!忍さん買ってもいい?」

さっきまで凹んでいた優だが、初めての屋台を目の前に子供のようにはしゃいでいる。

買ってもいいかと聞いたわりに、さっさと買って食べ始める。

「綿菓子ってこんな味だったんだ」

ふにゃりと笑って綿菓子と格闘しながら食べている姿を、微笑ましく眺めている。

「歩きながら食べると逸れるぞ」

そう言って、屋台の脇に移動して食べる事になったが、先程までの気まずい雰囲気は無くなっていた。

「わたあめの他に食べたいものは?」

一生懸命綿菓子を食べている優に向かってそう話しかける忍の手には、スマホが握られていた。

「え?何か言いました?」

振り返った瞬間カシャリと音がして、写真を撮られた事に気付く。

「えぇ!撮ったの?!やだ、変な顔なのに・・」

「あぁ、可愛かったからつい」

顔を赤らめる優に、悪気の無い笑顔でそういう忍の顔に、ドキリとしてそれ以上の言葉が続かなかった。

「そろそろ行こうか」

二人はまた出店で賑わう本筋に戻り、気の向くままに歩いた。

歩きながら気になる店で立ち止まり、興味心身に眺めたり遊んだりしている優に、いつの間にか忍も子供の頃に帰ったように楽しんでいた。

地元主催の祭りで、出店の規模も小さかったが、気がつけば全ての店を回っていた。
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