男の秘密
「楽しかったぁ」

そう言いながら、神社の境内で一息をついた。

「俺も子供の頃以来で楽しかった」

『あ、わ、私、羽奈のアドバイスを完全無視してた・・・』

いい雰囲気に持っていって、相手から誘われるようにするという、羽奈のアドバイスを忘れて、出店に興じてしまった。

全ての出店を回ってから気付き、落ち込んでしまう。

「ん? どうした? 疲れたか?」

「え、ううん。大丈夫。忍さんこそ仕事の後なのにゴメンなさい」

申し訳なくて少し泣きそうな顔で見上げた。

「いや、逆に疲れが飛んだよ」

優から視線を逸らした忍に胸が痛み、何か言うと口を開きかけた時、花火が上がった。

「あ・・」

かなり近くで上げているらしく、音のする方を見ると、頭上に花火が見える。

「凄い・・」

「あぁ、こんなに近くで見るのは初めてだな」

二人は座って見られる場所に移動し、美しい花火を寄り添い黙って見ていた。

ただ、花火の上がる間隔が長くその間、忍の体温を感じて居るだけで、幸せなような、ドキドキするような気分になった。

花火を見ている忍の横顔をジッと見つめていると急に羽奈の計画を思い出し、心拍数と体温が上がる。
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