男の秘密
明日はお互いバタバタするからと、早めに分かれた。

病院を出て、タクシーで帰ろうかと思っていると、黒塗りの車が音も無く目の前に止まった。

「?」

「迎えに来たぞ」

そう言って運転席から顔を覗かせたのは木戸だった。

「木戸さん・・どうしてココに」

先ほど電話をかけた際に、病院の名前を伝えていたが、まさか迎えに来るとは思っておらず、驚きの表情を浮かべた。

「今日は大変だったな。明日の打ち合わせをする為に来た」

そう言って車に乗るように促した。

「明日は、本当に優の事を話すのか?」

音も無くスムーズに走り出した車内で木戸が話し出した。

「あぁ、事務所の方針がどうなったかは関係なく、優と結婚を前提に付き合っている事を話したい。

それで、仕事が無くなるようなら、拠点を移す計画を前倒しにするつもりだ」

ホテルに缶詰にされていた時の、イライラしてやつれた感じではなく、堂々とした話しぶりに覚悟がわかる。

「そうか、まぁ、社長には言うとも言わないとも言うな。止められるかもしれねぇからな」

ニヤリと笑う木戸は、忍の意思を尊重してくれるようだ。
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