男の秘密
「疲れた?」

帰りの車の中、心配そうな顔をした忍がそう言う。

「あ、いえ、大丈夫です」

慌てて否定するが、忍の顔は晴れない。

「無理してる?」

「・・・少し疲れました」

忍との距離を自分の中でグルグルと考えているだけで、疲れた。

だが、忍に自分との関係はどんなものなのかを聞く勇気の無い優は俯いてしまう。

「ごめん。楽しくてつい、連れまわしてしまって」

「いえ、とんでもない。私の方こそ楽しかったです」

『私が変なことをグルグルと考えている所為で、忍さんにこんな顔させるなんて・・・。』

自己嫌悪で更に落ち込んでしまい、泣きそうになる。

「ちょっとだけ、時間有る?」

顔を上げると、少し困った顔の忍がいた。その表情に胸が痛くなる。

「はい。」

「ありがとう」

そう言って、忍は車を家とは違う方向に走らせる。
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