男の秘密
「どう?定時に上がれそう?」

4時ごろ加藤が優の所に顔を出してそう言う。

「今の所は大丈夫よ。加藤君は?」

「バッチリ!」

とても機嫌の良い加藤が、少々大きめの声でそう言うので、優は苦笑した。

「じゃぁロビーで待ってる」

そう言って優の返事も聞かずに去ってしまった加藤に、半ば呆れる。

『営業なのに先に上がれるのかしら。』

残り時間が少なくなった事を思い出し、優も作業ペースを上げる。

「お待たせ」

ロビーで待っていた優の前に、息を切らせて加藤が現れた。

「ううん。そんなに待ってないわ」

二人連れ立って歩き出す。

「駅方面は良く行くから、反対側かしら」

「いっそ、駅を一つ過ぎた所でもいいんじゃないか?」

近くのカフェで、加藤のスマホを覗き込みながら今日行く居酒屋を探す。

オフィス街だからかもしれないが、会社付近には思ったよりお店が多い。

何時も行っている駅方向の逆側の居酒屋に行ってみるという事で意見があった。

外見から中身を判断せずに、店先のメニューを見て判断した。

少し店先は古臭いように思えるが、ショーウィンドウに飾ってある食品サンプルはどれも美味しそうで、価格もお得だった。
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