一途な御曹司に身も心も奪われ虜になりました
飲もうとしていたビールを机に置いて里香に聞く。

「どこまで話は進んでるの?」

「私が知る限り、反対派代表が今度の総会で社長に推進課の撤廃を願い出るって話よ」


ちょっと待って。

私は社内恋愛に対して肯定派でも否定派でもない。

だけど、社内恋愛推進課所属の社員だ。

入社して5年。

それなりに頑張ってきた。

反対派がいることは知っていたけど、撤廃の話まで出るなんて。


「私たちがしてきたことは間違いだったの?」


不安を口にすると里香は困ったように眉根を寄せてから首を左右に振った。


「幸せになった人たちはたくさんいるんだから間違いってことはないと思うよ。でも野田専務が反対派の頭だって噂だから…」


野田専務は重役が家系で犇めく中、一般社員からのし上がった切れ者だ。

人タラシと呼ばれるほど誰に聞いても評価の高い専務は人の心を詠む術を持っていると言われるほどの人格者。

そんな人が反対派にいるなんて。


「あの人も社内恋愛の末に結婚してるから出世もそこが加味されてるはずなのにね」

「いや、だからそれは出世に関係ないって。でも野田専務が絡んでいるなんて。それってつまり……」


ゆっくりと里香を見れば里香はサラリと言って退けた。


「『社内恋愛推進課』は無くなるわ」

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