一途な御曹司に身も心も奪われ虜になりました
里香に聞いた話が杞憂に終わったと思った頃、総会後の会議室に推進課4人が呼び出された。
会長、社長、野田専務を前に左から片桐修、片桐(旧姓蓮見)緑、吉木美羽、菅原誠が並ぶ。
45歳、38歳、27歳、25歳の年齢順の並びは男女が交互に立ち、背もそれに応じて凸凹である。
「忙しい中、呼び出してすまないね」
口火を切ったのは社長だ。
端正な顔立ちは還暦間近に見えないほど若々しい。
育ちのよさを感じさせるゆったりとした話し方が緊張感漂う場の空気を和らげる。
「君たちの活躍は噂に聞いているよ」
ありがとうございます、と頭を下げた課長に続いて3人揃って頭を下げる。
「ただね……」
苦笑いを浮かべた社長は隣に座る野田専務の方をチラリと向いた。
それを受けて野田専務が続けた。
「社内恋愛推進課の必要性に疑問が生じている」
社長とは真逆の野太い声が室内に響いた。
細い体のどこからそんな声が出るのだろう、と関係ないところが気になった。