One more kiss
ちなみに髪型はあっちこっちツンツンとさせたベリーショート。


なので更に、パッと見ただけでは心が女性である人だとは察知できない風貌になっている。


『アタシももう36だもの~。アラフォーよアラフォー!いい加減落ち着いた格好にしないとー。無理な若作りはむしろ年齢の高さを浮き彫りにさせるから』


前回会った時にそんな風に言っていたっけ。


私は別にメンクイという訳ではないと思う。


だってその後お仕事で、モデルはもちろん、お洒落に敏感なありとあらゆるイケメンさん達に出会って来たけれど、マコトさんを見た時のように心を揺さぶられる事はなかった。


そしてそれ以前にも。


あんな気持ちを味わうのは、もしかしたら人生の中で最初で最後の経験かもしれない。


……つまり私の一世一代の恋は最大級に不毛なもので、相手に伝える事も叶わぬまま、何とか頑張ってその想いをあやしてなだめすかして、静かに眠りに就くのを見届けなくてはいけないという事なのだ。


そういう方面に関しても、ツイてないというか運が悪いというか…。


新たに自覚してしまった残念な事実に、私は思わずコッソリと、心の中でため息を吐いた。


「はい、一丁上がり!」


私のリアクションが薄いのはいつもの事なので、先程の自分の発言に対する答えは期待していなかったようで。
< 16 / 35 >

この作品をシェア

pagetop