One more kiss
そこで一旦立ち止まり、ドアを閉めて歩き出したマコトさんの後に続いて、私も通路を進む。
途中までは来た時のルートを逆に辿ったけれど、奥に見えている店舗に通じるドアまでは行かずに、その手前にある角を左に折れた。
この建物は一階が店舗、二階がスタッフルーム、そして三階がマコトさんの住居になっている。
なので帰りは店内を横切らなくて済むように、マコトさんは私を住居用の出入口へと誘導して下さったという訳だ。
「あのね、麻耶ちゃん」
玄関までたどり着き、ドアの取っ手に手をかけたマコトさんは、てっきりそのまま開けて下さると思っていた私の予想を裏切り、その体勢のままクルッと振り向くと、徐に語り始めた。
「あなたはとても魅力的なモデルさんだと思う」
私の瞳をじっと見つめながら。
「だけどね、何ていうか、すでにあちこちヒビが入っていて、いつでも脱け出せる状態の自分の身を覆っている殻を、あえて被り続けてしまっているように見えるのよね。裸で外に飛び出すのを、とても恐れているというか…」
「え…」
「もっと自分に自信を持って良いと思うの。ううん。むしろ、持たなくちゃダメ」
突然の、予想外の指摘に呆然としている私に、マコトさんは畳み掛けた。
それまでは、ただただ優しかった眼差しを一瞬鋭い物に変えて。
「その世界で生き残って行きたいのならね」
「…はい」
途中までは来た時のルートを逆に辿ったけれど、奥に見えている店舗に通じるドアまでは行かずに、その手前にある角を左に折れた。
この建物は一階が店舗、二階がスタッフルーム、そして三階がマコトさんの住居になっている。
なので帰りは店内を横切らなくて済むように、マコトさんは私を住居用の出入口へと誘導して下さったという訳だ。
「あのね、麻耶ちゃん」
玄関までたどり着き、ドアの取っ手に手をかけたマコトさんは、てっきりそのまま開けて下さると思っていた私の予想を裏切り、その体勢のままクルッと振り向くと、徐に語り始めた。
「あなたはとても魅力的なモデルさんだと思う」
私の瞳をじっと見つめながら。
「だけどね、何ていうか、すでにあちこちヒビが入っていて、いつでも脱け出せる状態の自分の身を覆っている殻を、あえて被り続けてしまっているように見えるのよね。裸で外に飛び出すのを、とても恐れているというか…」
「え…」
「もっと自分に自信を持って良いと思うの。ううん。むしろ、持たなくちゃダメ」
突然の、予想外の指摘に呆然としている私に、マコトさんは畳み掛けた。
それまでは、ただただ優しかった眼差しを一瞬鋭い物に変えて。
「その世界で生き残って行きたいのならね」
「…はい」