恋色シンフォニー
5

目がさめると、布団の中だった。
かすかにヴァイオリンの音が聞こえる。
音楽かけっぱなしで寝ちゃったかな
……

目を開くと、障子から柔らかい朝の光が……

って、

障子⁉︎
和室⁉︎

うちに和室はない!

がばっと起き上がり、服を確認すると、昨日の服のまま!

これは、やってしまった……‼︎

ゆうべの記憶をたどる。
ええと。
三神くんと話してて、飲み会がお開きになったところまでは覚えてる。

そこまでだ。

ということは。
考えたくはないけれど。

まずいまずいまずい……

落ち着こうと、和室を見渡す。

布団から出て障子を開けると、外は庭。
ってことは一戸建てか。

隅には仏壇。

仏壇に写真が飾ってあるのに気づく。
3人の家族写真。
お父さんと、お母さんと、子ども。

近寄って見ると、

……小学生くらいの、
三神くん。

コンクールでの写真なんだろう、三神くんはヴァイオリンとトロフィーを手にしている。
真面目そうなお父さんと、にこやかに笑うお母さん。はにかむ三神少年。

写真の後ろには、2つの位牌。

ご両親、亡くなってるんだ……。

仏壇の前に座りなおし、お線香をあげ、手を合わせる。

酔い潰れて息子さんに迷惑かけて申し訳ございません。

それにしても、ご両親の仏壇の前に寝かせられるとか、恥ずかしすぎる。
三神くんめ……。
どんな罰より心が痛むわ。

枕元には、私の腕時計が置かれていた。
時間を見ると、8時。
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