婚約者はホスト!?④~守りたいもの~(番外編あり)
「いつまで突っ立ってるんだよ…」
圭司の声に、思わずビクッと震えた。
恐る恐る振り返ると、無表情のままの圭司が私の方へと歩いてきた。
「あ あの 圭司 ごめんね わ 私…」
もう 何をどう謝ったらいいのか、混乱して言葉がうまく出てこない。
「いいから 早く こい…」
圭司は私の手を掴み、病室へと連れ戻した。
私はベッドに腰掛けながら、圭司の顔を見上げて言った。
「本当にごめんなさい 全部 私のせいだって分かってる… ごめんね 圭司 許し…ん…」
圭司はわたしの言葉をキスで塞いだ。
「許さない… あいつに二度もキスされやがって…」
「ごめ…あっ…ん…」
「この 浮気者…」
激しくて、息さえできない…
「苦し…い…」
荒々しいキスから、圭司の怒りが伝わってくる。
「ぷはぁ はあ…はあ」
ようやく圭司に解放されて、乱れた呼吸を整えていると、今度は体ごと圭司の胸に抱きしめられた。
「ちゃんと反省しな あんな煽るようなことした、なつが悪いんだから…」
「分かってる ごめんなさい…」
「俺だって、なつが男に同情する度キスシーン見せられてたら、身がもたない…」
「うん ホントごめんね…」
圭司の言うとおりだ…
私って、何て浅はかなんだろう…
松井くんを傷つけたくなかったなんて、思い上がりもいいとこだ…
私はバカだ…
一番大事な人まで、傷つけて…
「ごめん…なさい」
ヒクヒクと子供のように泣きながら、圭司の胸の中で謝り続けた。
圭司は私の背中をさすりながら、大きくため息をついた。
「もう いいよ 分かれば、もういい… 泣いたら体にさわるだろ? ほら 布団に入りな」
そう言って、圭司は私をお姫様抱っこのように抱えて、ベッドの中に寝かせた。
「甘いよな 俺は… これが逆だったら、絶対なつは大騒ぎしてるよ…」
圭司は私に布団を掛けながら、ため息混じりに呟いた。
「圭司は私みたいなバカなことしないよ 相手が期待しないようにバッサリ切るもん… 冷たいなあって思ってたけど、私よりよっぽど優しいね…」
「まあ なつは天然の小悪魔だから、あいつも気の毒だったかもな…」
「ん?」
私は首を傾げながら、圭司を見上げた。
「もう こういう顔も俺の前だけにしとけよ」
圭司が私の頬に手を触れながら言った。
「え? どういう顔…?」
「男を…誘う顔…」
圭司は私の耳元でそう囁くと、ゆっくりと唇を重ねてきた。
そっと触れた唇は、ものすごく優しくて…
私は、ぎゅっと圭司の背中に手を回した。