婚約者はホスト!?④~守りたいもの~(番外編あり)
翌朝、私は、チュンチュンという小鳥のさえずりで目を覚ました。
そっか 昨日から、長野の別荘に来ていたんだっけ…
私は、枕元にある携帯を手探りで掴んだ。
来てないか…
昨日も遅くまで圭司からの連絡を待っていたけれど、結局何もこないままだった…
今日から大阪だって言っていたけれど、一人で大丈夫なのかな? 何時に出るのか知らないけれど、もし寝ぼうしてしまったら大変だ…
なんて…
正当な理由を見つけた私は、さっそく圭司の携帯に電話をかけたのだけれど…
うそ! ここ圏外だったの!?
ツーといったまま何の反応もない携帯を片手に、私はガックリとうなだれた。
確かに、アンテナも立っていない…
そっか…
バタンと私はベッドに倒れ込んだ。
なんだ… じゃあ 二週間も圭司の声、聞けないのか…
そう思った途端、無償に声が聞きたくなった。
そうか!
家の電話から、かければいいんだ…
早朝、5時…
まだ誰もいないリビングから、圭司の携帯へと電話をかけた。
「はい 瀬崎ですが…」
少し掠れたよそ行きの声に、私の心臓はドクンと音を立てた。どうして私は、こんなにも圭司に夢中なのだろう…。
「あ もしもし 圭司?」
「なつ? どうした 何かあったか?」
心配そうな声で圭司が言った。
「え? いや あのね圭司、今日から出張でしょ? ひとりでちゃんと起きれるのかなって心配になって…」
「なんだよ… もう ビックリさせんなよ こんな時間に長野の家からかかってきたから、何かあったのかと焦るだろ?」
ふーと圭司が息をついた。
「えっ あ ごめん ここ圏外で、携帯使えなかったから…」
「知ってるよ でも、朝 俺を起こすとか、今まで一度もしたことないじゃん 逆に俺が起こしてるくらいなのに」
「そうだけど…」
だって、声が聞きたかったんだもん…とも言えず、私は押し黙った。
「なに? 俺に会えなくて、寂しくなっちゃった?」
圭司が意地悪っぽく笑った。
なんだか、圭司だけが余裕で、ちょっと悔しい…。
「うっ 浮気…してないか確かめただけ…」
思わず、そんな言葉が口から出た。
何、言っちゃってるんだろう…私
「ふーん 浮気ねえ… 俺は誰かさんみたいに、隙とか一切作らないから、ご心配なく…」
「うっ…」
呆気なく返り討ちにあってしまった。
「ほら あんまり電話してたら、お父さん達も気にしちゃうだろ ちゃんと二週間後に迎えに行くから、それまでいい子にしてて…」
「うん…」
「じゃあな なつ 愛してるよ…」
電話を切った後も、しばらく私の耳には、圭司の甘い声が響いていた。