婚約者はホスト!?④~守りたいもの~(番外編あり)
次の日、仕事から帰ってきた私に圭司が言った。
「なつ 話があるんだけど…。」
私はテーブルのイスを引いて、圭司の向かいにすわった。
圭司の神妙な顔つきから、なんとなく 良くない話なのだと伝わってくる。
「なあに? 話って…。」
私の声は震えていた。
「なつ…。もしこのまま 俺の記憶が戻らなくても…俺と夫婦でいられる?」
「えっ…」
私は答えられずに俯いた。
記憶が戻らなかったら…
ずっと 私は愛されないままだ。
ふと 頭の中に麗子様の言葉が蘇ってきた。
『私が欲しいのは、責任じゃなくて愛情なのよ…。』
それに 私だって、圭司を幸せにしてあげられない…。
圭司の望む賑やかな家庭さえ、作ってあげられないのだから…。
いつまでも黙って俯く私を見て、圭司はそれが私の答えだと察したようだった。
「やっぱり なつは嫌だよな 今の俺じゃ…。
でも ごめん もうこのまま 俺の記憶は戻らないと思う。だから もう 終わりにしよう 俺たち…。」
圭司の言葉に、私の目から涙がこぼれた。
なんとなく こうなるのは分かっていたけれど
覚悟はしていたつもりだったけれど…。
胸が苦しくて、息ができない…。
「ごめんな なつ 結局 俺は泣かせることしかできなかったな…。」
圭司は泣いている私の背中をさすりなから何度も謝っていた…。