エリートな先輩の愛情を独り占め!?
「……いつも、自分の残業でデートに遅れそうになる度に、ラウンジで必死に謝ってるタマのこと見ながら、彼氏の顔が見てみたいって思ってたよ」
「……なんだよ、プライベートのことならあんたには関係ないだろ」
「お前に痩せろって言われたから食べるの必死に我慢して、ふらふらの状態で仕事をしているタマを見てたら、お前に会った時は説教してやろうと思ってたよ」
「だから、そんなのあんたには関係ないだろ!」
「お前に浮気されたって泣いてるタマを見た時、お前に会った時は殴ってやるって決めてたんだわ」

その直後、肉と骨がぶつかる音が聞こえて、竣介がコンクリートに倒れ込んでいた。
「八谷先輩もういいです! もうやめてください!」
駆け寄って必死に引き止めたが、八谷先輩は目に血を走らせて更に竣介に怒鳴り散らした。
「亭主関白気取って自分の理想押し付けたくせに浮気した挙句、お前の言うことを全部必死に守ってたタマに浮気を疑うような……お前みたいなクズがっ、タマみたいな人間に気安く触れると思うな‼︎ 今すぐタマの連絡先を全部削除して消えろ‼︎」
八谷先輩の怒声に、竣介は自分がした行為全てを悟った表情をして、ただただ茫然自失しながら座り込んでいた。
そんな彼を見て、八谷先輩は呆れたようにため息をついて、私の腕を強引に引っ張った。
「行くぞ、タマ」


――ねぇ、八谷先輩。
八谷先輩はやっぱりヒーローなんですか。
先輩に腕を引かれながら、私は真剣にそんなことを考えていた。
八谷先輩に助けられたことなんて、もう数え切れないくらいあるんですよ。こんなに助けられて、優しくされて、好きにならないわけないじゃないですか。

「……八谷先輩、どこに向かってるんですか」
「決めてない」
「八谷先輩、怒ってるんですか」
「めちゃくちゃ怒ってるよ」
「八谷先輩、どうしてここにいるんですか」
「時田製菓の資料が一枚こっちに混入してたんだ。送ってもよかったんだけど、引き継ぎの様子も気になったし……」
「八谷先輩、会いたかったです」
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