好きやった。
「井ノ原に背中押してもらったから、美亜と仲直りできたんや」
「それは……月島の力やよ。ウチは関係ないって」
「関係あるって! おまえは大したことないって思とるやろうけど、井ノ原がおってくれたおかげや。今日だって付き合ってくれたし、ほんまに助けてもらってばかりやよ」
前を見ていたはずの月島は、いつしか振り返って力説していた。
おのずと立ち止まった二人の足元には、影が長く伸びて寄り添っている。
「だからほんまに……頼ってほしいと思っとる。話したくないこともあるやろうし、俺じゃ頼りないかもしれんけど……」
月島が真っ直ぐウチを見つめている。
真っ直ぐすぎて、その言葉に答えられない自分がもどかしかった。
「いつか話せるようになったら、いつでも言うてな。俺、ちゃんと聞くから。井ノ原はほんまにええやつやから、今度はおまえの役に立ちたいんや」
ふわっと笑う。またウチが好きな笑顔で、月島は目の前で笑うんだ。
ほんまにずるいな……。
月島はどれだけウチの心を揺さぶったら気が済むのだろう。
ゆらゆらと揺れた心の隙間から、簡単に気持ちが漏れ出してしまう。
なあ、月島。
ウチはほんまに、ほんまに――。
「……って、こんな押しつけがましいこと言うたら、井ノ原は余計に悩みも言いにくいよな。わりぃわりぃ」
月島がはっとした表情になると、また前を見て歩き始めた。
その一方で立ち止まったままウチから、月島はどんどん進んでいく。離れていってしまう。
嫌やよ……行かんといて。
じわりじわりと漏れ出した本音の波が、一気に身体中を巡るのを感じた。
溜まりに溜まっていた想いのエネルギーがウチを突き動かす。