カリスマ社長に求婚されました

「奈子さん？」

私を睨むように見ている彼女は、これみよがしにため息をついた。

「あのね、茉奈さん。あなたは引っ込んでくれない？ それくらい分からないの？」

「えっ？」

一瞬、なにを言われているのか理解できなくて、言葉を失った。

すると彩子さんが、険しい顔でやってきた。

「ちょっと奈子、そういう言い方はないでしょ？ だいたい、茉奈ちゃんは秘書なのよ？ 引っ込んでもらっちゃ困るけど」

柊也さんも少し離れた場所から、腕組みをして苦い顔でこちらを見ている。

だけど奈子さんはまるで動じる様子もなく、動揺しているのは私だけみたいだ。

「秘書以前に優一の彼女でしょ？ そんな人が、この場でウロウロしてるのは嫌みよ。今日の主役は、あくまで新作ジュエリーとゲストだけ。茉奈さんがいるとぶち壊しだわ」

「ちょっと奈子！」

声を荒げた彩子さんを、私は軽く手で制した。

ステージまで声が届いては大変だ。

「ありがとうございます、彩子さん。でも奈子さんの言うとおりかもしれません」