カリスマ社長に求婚されました
「茉奈ちゃん……。奈子の言うことは気にしなくていいわよ。そもそも、今日はellの発表会よ。奈子が指図するのはおかしいわ」

まるで納得いかない様子の彩子さんは、言い終わると奈子さんを睨んでいる。

それでも奈子さんは、強気の姿勢を崩さなかった。

「彩子ってば、忘れたの? 今日のパーティーは、半分私がスポンサーよ」

と言われ、彩子さんは口をつむいだ。

それにしても、さすが大学時代からの知り合いだけあって、ふたりとも遠慮がない。

ますます気圧された私は、スケジュール表を閉じた。

「いろいろと、優一さんとのことが噂になってるのは知っていますから……。今日は、私が進行するわけではないので、人目につかない仕事に徹します」

雑用めいた仕事はいくらでもあるし、メインの進行役は優一さんや奈子さん、それに広報部だ。

だから私がこの場を離れても、優一さんにはいくらでも言い訳が成り立つ。

「ねえ、茉奈ちゃん。本当に気にしなくていいわよ」

心配そうに見つめる彩子さんに、なんとか笑みを向けるとその場を離れた。
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