カリスマ社長に求婚されました
ステージ裏からも部屋を出るドアがあり、ひとまずここから抜け出す。

広報部の人に会い雑用を引き受けると、さっそく外出を頼まれてしまった。

「実は、パーティー後の打ち上げの料理の数を間違えちゃったんです。すみません」

と泣きついてきたのは、私と同じ新人ちゃんだ。

店舗でないと受け付けないとかで、困っていたという。

「気にしないでください。行ってきます」

彼女からメモをもらい、エレベーターに乗り込む。

外に出る方が落ち着くから、こういう用事でよかった……。

今から、新作ジュエリーがお披露目されて、会場が盛り上がるところだ。

その雰囲気を外から知るだけなのは切ないから、まったく分からないほうがいいかもしれない……。

「えっと……。店はデパ地下にあるわけね。ここからだと五分ちょっとくらいか」

それに、まるで部外者の蓮士さんまで、私を見に来ていたくらいだもの。

想像以上に、優一さんとの噂は広がって大きくなっている気がする。

優一さんの足かせにはなりたくないから、やっぱり仕事のときは離れていたほうがいいんだろうな……。
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