カリスマ社長に求婚されました
自分が車にひかれそうになったことを理解したときには、膝に痛みを感じて、擦りむいていることに気づいた。

自分がとんでもないことをしたと、青ざめながら立ち上がると、歩道側へ戻る。

一部始終を見ていたであろう信号待ちをしていた人たちは、青信号に変わると私をチラチラ見ながら通り過ぎていく。

そして車はハザードランプを点けると、路肩に車体を寄せて停車した。

よくよく見るとその車は高級車で、黒塗りの有名な外国車だった。

フロント部分には、そのロゴが輝いている。

こんな車に乗る人はどんな人なのか、不安を覚えながら近づいていく。

とにかく、ヘタをしたら大事故を招くところだったのだから、きちんと謝らなければいけない。

すると、勢いよく車のドアが開き、中から男性が飛び出してきた。

「大丈夫だった⁉︎」

その人は、息を飲むほどのイケメンで、不謹慎にも目を奪われる。

栗色の髪は少しウエーブがかかっていて、それを緩く後ろに流していた。

キレイな二重の目に通った鼻筋、そして適度に厚みのある形の整った唇で、華やかな雰囲気を醸し出していた。

「は、はい……。私は大丈夫です。それより、本当に申し訳ありませんでした。 私の不注意で……」

思い切り頭を下げると、その男性が優しく肩を叩いた。

「顔を上げて。それより、膝を怪我してるみたいだ。ハンカチを巻いておこう」
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