ビタージャムメモリ
それは…結婚とかってことだろうか。
じっと見上げる私に、先生は生真面目に説明を続ける。
「だから、決して香野さんがどうというのではなく、相手が誰であろうと、僕には応える意思がない。気持ちはとても嬉しい、ありがとう」
「先生…」
「でも、ごめん」
私は、こんな丁寧な返答をもらえると思っていなかったので戸惑って、それから内容にも、戸惑った。
申し訳なさそうに顔を曇らせる先生に、何か言わなきゃと思うんだけど、これという言葉が出てこない。
困って、バッグを握りしめた。
「こういうことを聞きたいんじゃないよね」
「はい…」
思わず正直に認めてしまった。
誰であっても、つきあうことはしない。
それは安心というか、心の一部は確かに、穏やかになるんだけど。
なるんだけど…。
「ごめんね」
「いえ…」
身じろぎすると、手元の荷物がかさりと鳴った。
そうだ。
「あの、これ、どうぞ」
私は作ってきていたクリスマスクッキーを差し出した。
持ち寄りパーティとあったので、もしかして置いてもらえたらと思い、小分けにして袋に入れてきていたのだ。
先生は受け取ると、しげしげとそれを眺めた。
「ありがとう、凝ってるね」
「前のは、食べていただけなかったと聞いたので…ただの女子力アピールです」
「なるほど」
おかしそうに笑ってくれたので、少しほっとした。
「メリークリスマス…です」
「香野さんも、いいクリスマスを」
にこりと微笑んで、先生は駅の方へ歩いていった。
夜気に散る自分の白い息越しに、それを見つめた。
じっと見上げる私に、先生は生真面目に説明を続ける。
「だから、決して香野さんがどうというのではなく、相手が誰であろうと、僕には応える意思がない。気持ちはとても嬉しい、ありがとう」
「先生…」
「でも、ごめん」
私は、こんな丁寧な返答をもらえると思っていなかったので戸惑って、それから内容にも、戸惑った。
申し訳なさそうに顔を曇らせる先生に、何か言わなきゃと思うんだけど、これという言葉が出てこない。
困って、バッグを握りしめた。
「こういうことを聞きたいんじゃないよね」
「はい…」
思わず正直に認めてしまった。
誰であっても、つきあうことはしない。
それは安心というか、心の一部は確かに、穏やかになるんだけど。
なるんだけど…。
「ごめんね」
「いえ…」
身じろぎすると、手元の荷物がかさりと鳴った。
そうだ。
「あの、これ、どうぞ」
私は作ってきていたクリスマスクッキーを差し出した。
持ち寄りパーティとあったので、もしかして置いてもらえたらと思い、小分けにして袋に入れてきていたのだ。
先生は受け取ると、しげしげとそれを眺めた。
「ありがとう、凝ってるね」
「前のは、食べていただけなかったと聞いたので…ただの女子力アピールです」
「なるほど」
おかしそうに笑ってくれたので、少しほっとした。
「メリークリスマス…です」
「香野さんも、いいクリスマスを」
にこりと微笑んで、先生は駅の方へ歩いていった。
夜気に散る自分の白い息越しに、それを見つめた。