ビタージャムメモリ
だけどそれを携帯に登録しているうち、先生がいつも以上に言葉少なだったように思えて、ふと気になった。
元からクールなので、変わりないと言えば変わりないんだけど。
先生も、可愛がっていた歩くんとのこの顛末に、心を痛めていないわけはない。
やっぱり電話をすればよかったと、今さら悔いた。
「お帰り、メシできてるよ」
帰ると、食事の温かい匂いとそんな声に迎えられた。
…まずい。
この生活、ハマったら私のほうが抜け出せないかもしれない。
「荷物取ってこられた?」
「うん、弓生の会社って、冬休みいつから?」
私がコートを脱ぐ間に、歩くんが手早く食卓を整えてくれる。
チキンのソテーにミネストローネ、綺麗なサラダ。
なんだこの子、恐ろしい。
「私のとこは来週月曜行けば終わりなんだけど…ちょっと待って」
バッグを探り、手帳に挟んである全社カレンダーを取り出す。
本社と他の事業所は、工場がある関係で、カレンダーが違うのだ。
「先生のところは、火曜日も出だね、その代わり年明けの休みも一日長いみたい」
「ふうん」
「すっごいおいしそう…クリスマスだからチキン?」
「気分だけでもさ。どうせ巧兄は使わないから、帰ったついでに家にあった食材も持ってきた」
かつて我が家のテーブルの上が、こんなに彩り豊かになったことがあるだろうか。
いただきます、と言う間も惜しいくらいお腹が減っていた私は、見た目を裏切らないおいしさに感激しながら、お鍋一杯を空にした。
「お料理は歩くんの担当なの?」
「担当っていうか、俺は好きだからやっちゃう。巧兄もできるけど、やらずに済むならやらないっていう、まあ一般的な男のスタンスだよな」
「歩くん、変な女の人についてっちゃダメだよ」
絶対飼われちゃうよ、こんな子。
食後に作ってくれたココアを飲みながら、しみじみ忠告すると、バカにしたように鼻を鳴らされる。
「女になんか、わざわざこんなことしてやらねーよ、食わせたいと思うから作るんじゃん、こういうのは」
「女の人には、思わないの?」
「思うかよ、むしろ奉仕させてやってなんぼだろ」
「これが17歳の男の子の発言かと思うと…」
元からクールなので、変わりないと言えば変わりないんだけど。
先生も、可愛がっていた歩くんとのこの顛末に、心を痛めていないわけはない。
やっぱり電話をすればよかったと、今さら悔いた。
「お帰り、メシできてるよ」
帰ると、食事の温かい匂いとそんな声に迎えられた。
…まずい。
この生活、ハマったら私のほうが抜け出せないかもしれない。
「荷物取ってこられた?」
「うん、弓生の会社って、冬休みいつから?」
私がコートを脱ぐ間に、歩くんが手早く食卓を整えてくれる。
チキンのソテーにミネストローネ、綺麗なサラダ。
なんだこの子、恐ろしい。
「私のとこは来週月曜行けば終わりなんだけど…ちょっと待って」
バッグを探り、手帳に挟んである全社カレンダーを取り出す。
本社と他の事業所は、工場がある関係で、カレンダーが違うのだ。
「先生のところは、火曜日も出だね、その代わり年明けの休みも一日長いみたい」
「ふうん」
「すっごいおいしそう…クリスマスだからチキン?」
「気分だけでもさ。どうせ巧兄は使わないから、帰ったついでに家にあった食材も持ってきた」
かつて我が家のテーブルの上が、こんなに彩り豊かになったことがあるだろうか。
いただきます、と言う間も惜しいくらいお腹が減っていた私は、見た目を裏切らないおいしさに感激しながら、お鍋一杯を空にした。
「お料理は歩くんの担当なの?」
「担当っていうか、俺は好きだからやっちゃう。巧兄もできるけど、やらずに済むならやらないっていう、まあ一般的な男のスタンスだよな」
「歩くん、変な女の人についてっちゃダメだよ」
絶対飼われちゃうよ、こんな子。
食後に作ってくれたココアを飲みながら、しみじみ忠告すると、バカにしたように鼻を鳴らされる。
「女になんか、わざわざこんなことしてやらねーよ、食わせたいと思うから作るんじゃん、こういうのは」
「女の人には、思わないの?」
「思うかよ、むしろ奉仕させてやってなんぼだろ」
「これが17歳の男の子の発言かと思うと…」