性悪女子のツミとバツ

私はウェディングドレスから黒の打ち掛けにお色直しをした。
最後に読んだ両親への手紙で、私は生まれて初めて「母のようになりたい」と告げた。
嘘も脚色もない、紛れもない本心。
これから生まれてくるこの子に出来るだけ寂しい思いはさせたくないが、仕事を頑張る母の背中も見せたいと思っている。
私は涙を何とか堪えたが、母は大粒の涙を流していた。
思えば、私が母の涙を見るのは、これが初めてかもしれない。

「ここ、泣くとこよ、萌ちゃん!」

耳元で囁く彼ににっこりと微笑み返した。

「どうして泣くの?私、今いちばん幸せなのに。」

見上げた先には、やられた!といった表情で頬をほんのり赤く染め、しばし狼狽える彼。

「たまにデレたときの、破壊力がすごいんだよな。」

そう呟いてから、いつものように自信たっぷりな表情に戻った彼が、もう一度私の耳元に囁いた。

「今だけじゃない。この先もずっと幸せにする。」

その言葉に不意を突かれて、堪えきれなかった涙が目からこぼれる。集まってくれた人々の笑顔が滲んだ。
彼が待ってましたとばかりに、ハンカチを差し出して言った。

「泣いても可愛いなんてホント罪な女。俺をたぶらかした罰で、一生甘やかすことにする。」



こんなにも甘く幸せなバツならば、
甘んじて受け続けよう。

──やがて死が二人を別つその日まで。


【その日まで end】


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