世界の終わりに
教授は私に昔の話をした。
彼の友人たちはみんな死んでしまったらしい。
僕は生き過ぎたんだ、確かに教授はそう言った。
教授はずっと研究所で国のために働いていたそうだ。
その時貯まったお金でこの土地と家を買った。
ここはその当時、とても栄えていて
たくさんの商人たちが世界中のありとあらゆる物を売っていたらしい。
「彼らはどこに行ってしまったのですか?」
ーみんな、遠いところに行ってしまったよ。僕だけが1人、此処に残った。
「この場所が好きなんですか?」
ーうん。ここにはお墓があるからね。
「それは、誰のお墓ですか?」
教授は暖炉の火を穏やかに見守った。
昨日の大雨は止み、今は風となって森の木々を揺らしていた。
木漏れ日がさす頃になると、小鳥たちがさえずり、野うさぎが野原を駆け回った。
もしかしたら、あのうさぎはあの時生かした野うさぎかもしれない。
またここに戻ってきたら嬉しいと思った。
でも、教授は私の質問に答えてくれなかった。