愛してるなんて言わないで
お風呂から戻ると

2人分多い部屋食が用意されていた。


「翔太さん?女将さん間違えたんじゃない?多いよ?」


「いや、これでいいんだよ?」

「どうして…?」


翔太さんに問いかけた時

部屋の扉を叩く音がした。



「あ、父さんたち来たかな?」

そういい、部屋の扉を開けにいく翔太さんを目で追いながら


頭の中が真っ白になった。


父さん?

父さんってまさか…


翔太さんのお父さんっ⁉


なんでっ⁈




******************





颯太と

楽しい2人旅の予定だったはずなのに…


テーブルを挟んで


翔太さんのご両親と向かい合ってるこの状況こそが夢なんだと…

誰でもいい…


誰か言ってよ…。



「翔太…紹介したい女性って…この方なの?」

翔太さんのお母さんが目を丸くさせながら


颯太を見ながら問いかける。


「そうだよ母さん。


彼女は結花さん。

見ての通り可愛い息子がいるバツイチの女性。」


「ええ…それは…」


見りゃ分かる。と言った様子で口を噤んだお母さん。



「翔太…結花さんのことを本気で考えて

紹介しようとしてたのか?」

険しい面持ちのお父さん…。



まだ

2人でも話し合ってないのにこの仕打ちは酷すぎる…。


俯いたまま顔をあげれない私を他所に、会話が繰り広げられていく。


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