地味子さんの恋愛事情
開いたドアから、大河が登場した。

「気づいてたんだ…」

呟くように言った大河に、
「当たり前でしょ、私はあなたの姉なんだから」

私は言い返した。

「覗きなんて悪趣味だぞ。

腹いせとしてエロ小説のネタにしようと思ったのか?」

先ほどの態度はどこへ行ったのか、竜馬が強い口調で大河に言った。

「もう、こんな時にケンカしないでよ」

ムッとした顔をして言い返そうとしている大河を手で制すと、私は言った。

「桃ちゃんが兄貴を選んだからどうしようかと思って気が気じゃなかったけど…まさか、そんな答えが出てくるとは思わなかった」

大河はやれやれと息を吐くと、髪をかきあげた。
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