そのキスで教えてほしい
慌てているのが自分だけというのが余計に恥ずかしい。とにかく、動揺している自分を平常に戻す努力をするけれどうまくいかない、ダメだ。

「じゃあ、私はジュースを見に行きます」

「うん」

居た堪れず、私は背を向けて逃げた。

自分の鼓動が異常に速くて、どうしようもなかった。


お店の通路を早足で進み、たどり着いた飲料コーナーで呼吸を整えるように息を深く吐き出した。

すぐに頭に浮かぶ、崎坂さんの姿。

どうして会っちゃうのよ、と心の中で恥ずかしさを隠すように嘆きながら適当にペットボトルの飲み物を選ぶ。

それが一リットルのりんごジュースだとか、二リットルのお茶だということはわかっていても、ぼうっとカゴに入れていた。

そしてレジを通り、会計を済ませて袋にペットボトルを詰めながら思う。

歩いて持って帰るのに、重いじゃないか。
< 24 / 103 >

この作品をシェア

pagetop