そのキスで教えてほしい
私ったら何をやっているんだろう、と呆れながら重たい袋を持って歩きだしたとき。

「鈴沢、ここまで何で来た?」

同じレジ袋を持った崎坂さんが隣にやってきた。

ドキリとして、前に出した右足をもう一度出そうとしておっとっと、となった。恥ずかしい、けど、何事もなかったような顔をしておく。

「あ、歩いてきました」

「そうか。じゃあ俺の車で送ってく」

「え?」

「それ、重たいだろ」

彼の視線がわたしの袋へ向いた。

確かに重たいけれど。でも「俺の車で」って、崎坂さんの車に乗るということでしょう?
こんなに意識しているのに無理!

戸惑っている間に彼は私からペットボトルの入った袋を空いている方の手で軽く持ち上げ、奪っていった。

「あの、崎坂さ」

「いいから」

口許を緩めながら流すように見られて、胸が鳴ってしまった私は言葉を詰まらせてしまう。

そんな私をふっと笑った崎坂さんの手に下がる自分の袋を追うように、私は彼の後ろをついていった。
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