そのキスで教えてほしい
だって、コートの襟を乱暴されても彼女を宥めることもしなければ「やめてくれ」とも言わず、まるでどうでもいい、面倒臭いという雰囲気だ。
冷淡というか、なんというか。
とにかく相手の男性からは倦怠以外の“感情”がまったく無いように見える。
女性の感じからして、男性にも悲しい気持ち、寂しい気持ち、一方的なことであれば申し訳ない気持ちくらいあってもいいと思う。
でもその二人のうち女の人だけが悲痛なだけ。だからお姉さん、もうその男性はやめておいたほうがいい。
きっと絶対、ろくな男じゃない――
「どうしてもダメなの……?」
痛々しいほどの泣き声に、まったく関係のない私の胸がチクリと痛んだ。
男性は何も言わない。じっと彼女の顔を見ているのだろうか。
こちらからは顔にちょうど明かりが届かず見えないけれど、せめて目は向けていて欲しいと思う。
「わかった……ならもう、諦めるから……」
やはり別れ話だったのかな?
「最後にキスして。そうしたらもう……こんなところまで来ないし、連絡も、しない」
こんなところ。
その言葉ではっとした。よく考えたらここは会社の前。
“ろくな男じゃない”なんて言ってしまったけど、彼は同じ会社の社員なのかもしれない。
冷淡というか、なんというか。
とにかく相手の男性からは倦怠以外の“感情”がまったく無いように見える。
女性の感じからして、男性にも悲しい気持ち、寂しい気持ち、一方的なことであれば申し訳ない気持ちくらいあってもいいと思う。
でもその二人のうち女の人だけが悲痛なだけ。だからお姉さん、もうその男性はやめておいたほうがいい。
きっと絶対、ろくな男じゃない――
「どうしてもダメなの……?」
痛々しいほどの泣き声に、まったく関係のない私の胸がチクリと痛んだ。
男性は何も言わない。じっと彼女の顔を見ているのだろうか。
こちらからは顔にちょうど明かりが届かず見えないけれど、せめて目は向けていて欲しいと思う。
「わかった……ならもう、諦めるから……」
やはり別れ話だったのかな?
「最後にキスして。そうしたらもう……こんなところまで来ないし、連絡も、しない」
こんなところ。
その言葉ではっとした。よく考えたらここは会社の前。
“ろくな男じゃない”なんて言ってしまったけど、彼は同じ会社の社員なのかもしれない。