そのキスで教えてほしい
ドキン、と胸が鳴った私は思わず視線をそらしてしまった。

「なんだよ崎坂、その笑いは!」

「それをここで言うわけないだろ」

「うわ、なんだよそれ。気になるんだけど!」

勝手に盛り上がっている湖島さんは、面白そうに私たちを見る。

もう崎坂さん、誤解されるようなことを言わないでほしい!

焦っていると、木村さんが私の方を見てにこりとする。

「お二人はデスクも隣だから、よくお話するんじゃないですか?」

「そ、そんなことないよ。最近まで仕事以外のこと話したことなかったし」

「えー、崎坂さんが隣にいたら、話しかけたくなりません?」

木村さんの問いに私は首を傾けた。

容姿が整っていて女性社員から人気のある崎坂さんは、仕事以外のときは別次元の存在だと思っていたから。

「鈴沢は俺に全然興味なかっただろ」

「そ、そういうわけじゃ……」

「でも今は、少しくらい気にしてくれてる?」

悪戯に笑う崎坂さんに見つめられて、鼓動が速くなっていく。

湖島さんと木村さんがいるのに、どうしてそんなことを余裕で言えてしまうのか。
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