そのキスで教えてほしい
「お前ってさ、静かに攻めるよなー」

湖島さんが崎坂さんを茶化すように笑ってくれたから、崎坂さんの瞳に捕まっていた自分の視線をそらすことができた。

ごまかすように笑ってその場をしのぐ。
どうしよう。

私、崎坂さんにどんどん惹かれている気がする……。


それから二時間ほどお酒を飲みながら、仕事の話や趣味のことなど様々な会話をしていた。

崎坂さんを意識しながらだったけれどそれなりに楽しかった。

和やかな雰囲気の帰り際、お手洗いに寄っておこうとお店の奥へ向かった。

トイレの内装までお洒落で、感心しながらついでに化粧も直し、ふう、と息を吐く。

崎坂さんのことが心から離れない自分を鏡を通して見つめていた。

面白がられているのかな、私。
からかわれているような気がする。

そうなら、崎坂さんの言動を本気になんてしてはいけない。

崎坂さんは何を考えているの?
訊きたくても、どう訊いたらいいのかわからない。

私は鏡から視線をそらし、再び溜め息を吐いてお店の通路へと出た。
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