そのキスで教えてほしい
駅までの道のりを四人で歩きだしたけれど、私はほとんど俯いて進んでいた。

「皆さん、今日は楽しかったです。ありがとうございました」

駅の構内でにっこりしながら言った木村さんの隣に、湖島さんが素早く移動する。

「方向一緒だから送るよ」

「本当ですか? ありがとうございます」

「うん! じゃ、崎坂と鈴沢さん、お疲れさまー」

可愛らしい笑顔に撃たれた湖島さんは、嬉しそうに木村さんと改札を通っていった。

私はその後ろ姿を複雑な気持ちで見ていた。
だって木村さんは崎坂さんと……。湖島さんはそのことを知らないで、一緒に帰れることをあんなに嬉しそうにしているんだもの。

「鈴沢はこっからどうする? バス?」

「……いいえ。電車に乗ります」

私は隣にいる崎坂さんから顔をそむけて答えた。

駅まで来ているし、このまま電車で帰る。
歩きだして改札を通り、ホームへと階段を降りている間私は崎坂さんを避けるように黙っていた。

方向が同じだけれど、一緒に帰ろうとは思わない。
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