そのキスで教えてほしい
「はぁー……」
金曜のお昼休み。休憩スペースにある自販機でペットボトルのお茶を買い、そばの壁に寄りかかってため息を吐く。
崎坂さんとは気まずいまま。スマートフォンを届けた日から余計に避けるような感じになってしまっている。
疲れた。まだ午後もあるのに、集中力が続かないかも。
でも今日が終われば土日休みだし、頑張ろう。
お茶をごくりと飲んだとき、通路から声をかけられた。
「あれ、鈴沢さん?」
私を見つけたのは湖島さん。
彼は足を止め、微笑んでから体の向きを変えてこちらにやってきた。
顔を見るのは先週飲みに行った以来だった。
「こんにちは。木村さんに会いにきたんですか?」
「あー……崎坂のほう」
『崎坂』と聞いて一瞬ドキリとしたけれど、なんとか顔には出さないようにしてそうですか、と頷いた。
私の前で立ち止まった湖島さんはぎこちない笑みを作る。
「実はさー……」
言葉をためらいながらがっくりと項垂れたから、もしかして、崎坂さんと木村さんのことを知ってしまったんじゃないかと体に力が入った。