そのキスで教えてほしい
二十分ほど車を走らせてやってきたのは、この辺りでは人気の商業ビル。

七階まであり、シアターはもちろん、アミューズメントフロアやショッピングフロア、飲食店も入っている施設だ。

地下駐車場に車を停めて、エレベーターまで歩く。

「そういえば、飯食べた?」

「あ、まだです。崎坂さんは?」

「俺もまだ」

「じゃあ、何を見るか決めて時間を確認したらご飯食べましょうか」

「そうだな」

場面行動なのに、意外とすぱっと物事が決まっていく。

映画を見ないかと提案したのは私だったけれど、この場所を選んだのは崎坂さんだし。

行動を悩まない感じがいいなと思った。

デートしようなんて言っておいてノープランということには驚いたけれど。

歩く崎坂さんの横顔を見ていたら、エレベーターにたどり着いた。

しかし他にも人がいて、ちょうど来たものには乗れず、しばらく待って次に来たものに乗り込んだ。

入ったエレベーター内に、次々と他の人も乗り込んでくる。

家族連れ、カップル、若い女の子たち……いっぱいになって上りはじめて、窮屈な空間に息苦しくなった。
< 67 / 103 >

この作品をシェア

pagetop