そのキスで教えてほしい
「大丈夫か?」

「あ……」

すると、そっと崎坂さんがわたしの腰に手をまわし、自分の方へ抱き寄せた。

彼と体が密着してしまう。
けれど、崎坂さんにくっついたお陰で少しだけスペースができて楽になった。

「あ、あの、すみません」

「いいよ。俺だから」

彼がふっと笑ったのが耳元でわかった。

胸を鳴らしながらもう一度「すみません」と謝り、私は俯いた。

崎坂さんの香水の甘やかな匂いにクラクラする。

私の腰を抱いている腕に守られているような気がして、頬が熱くなってきた。

シアターがある階は六階。
それまで人が出たり入ったり。

ずっとドキドキしていてやっと六階に着いたとき、崎坂さんは私の右手を握ってエレベーターを出た。

あまりにも自然だったから、私は繋がれている手をぼうっと見つめていた。

崎坂さんの隣って、ドキドキするけど安心する。
気遣いや優しさにうれしくなってしまった。

「何見る? アクション、ホラー、……ラブストーリー?」

上映スケジュールを見て、崎坂さんがいたずらに微笑んだ。
< 68 / 103 >

この作品をシェア

pagetop