ネクタイをとられまして
39歳女がどうぞとなぜか目を光らせて言っ

た。

男はでは少し長話になりますが、と前置き

をしてから語りだした。

「小心者の私と高飛車天国な彼女と出会っ

たのはつい昨年のことになります。当時の

私はこれっぽっちの欠片ほども自身を小心

者とは思っていませんでした。ですが、あ

の信じられない高飛車天国を見せつけられ

たとき、そして反抗という使命を背負って

生まれてきたかの如く反抗する様を見せつ

けられたとき、なぜでしょう。自分を小心

者と言わざると得ないのではないか?と

思ってしまったのです。なんの関係もない

のに……。」

「いやまてまて、ネクタイを取り返さな

かった理由だよ。私達が聞いているのは」

( 達って言うな……。)

この時の39歳女の腹の底を黒く満たしてい

たモノの本の一部である。

「すみません。ですが、それほどに彼女が

高飛車天国であることを頭の片隅に置いて

おいてください。で、本題の取り返さな

かった理由なのですが、それは彼女がサ
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